Aさて、次に、どうしても患者さんにやってもらいたいこと。
それは歯ブラシです。
歯石を苦労して歯科医院で除去してもらっただけではシソーノーローは治りません。
歯石をとった直後と言うのは、当然まだ歯肉は引き締まっておらず、歯と歯肉の間はすいています。このときに患者さんが歯ブラシをがんばらなければ、せっかくひと皮むいてきれいにした歯の根の表面に、汚れが入ってまたもとのもくあみです。こうなったものをもう一度きれいにしようとするとさらにもうひと皮むかなければならなくなります。したがって、歯石をとったあとに、かなりがんばって歯ブラシをしなげれば、シソーノーローは良くなるどころか、最初よりも悪くなります。
シソーノーローの治療が、むし歯の治療よりも難しいと言われる理由です。ムシバの治療なら、30分も治療台の上で口をあけていてくれると、削って、つめて、かぶせて治すことができるけれども、シソーノーローはそういうわけにいかない。患者さん自身が、自分で自分の歯を歯ブラシによって自宅で治療してもらわなければ治らないのです。
治療に先立ち、前述のレントゲンや、模型、ポケット測定、さらに歯肉の状態を鮮明にとらえるカラースライドなどの、きちんとした記録を残していくことが大切です。そしてそれらの資料をいつでも簡単に取り出して見ることができることがなにより大切になります。
治療によって、歯肉が治っていっているかどうか、最初の状態の記録と比べていかねばならないからです。当院では、患者産後とのファイルを作って、すべて保管するようにしています。
さて、では治療はどうするのでしょうか
@歯肉の中についている歯石を除去する
Aさて、次に、どうしても患者さんにやってもらいたいこと。
B砂糖(甘いもの)をひかえる。
C定期健診
C定期健診
一度溶けてしまった骨の代わりを歯肉がひきしまってするようになりますが、歯肉は少し油断するとすぐにやわらかくなり、ポケットが再発します。骨はもとにはもどらないのです。
気づかないうちに再発したポケットを早期に発見して、史跡の取り直しなどの処置を部分的に行っておくことが大切です。
そしてなにより、子や孫が同じ病気で苦しまなくてすむように、患者さん自身が治療を通して、良かったと思うことを伝えていってほしいです。
B砂糖(甘いもの)をひかえる。
歯垢の蓄積の原因となるのは、砂糖です。いくら歯ブラシをがんばってやっても、お砂糖を摂りすぎて、歯垢をふやかしていたのでは、追いつきません。お菓子、ジュース類をできるだけ少なくしましょう。
シソーノーローという病気は、もともとは原始人には見られませんでした。現代病と呼ばれるのは、砂糖の摂取の増加、軟食傾向の現代の食事が、原因と考えられるからです。
砂糖(甘いもの)をひかえるということを通じて、食生活全体の見直しをしてほしいと思います。
全身の健康のためにも良いと思います。
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歯ブラシのやり方は、患者さんごとにお教えしますが、小さめかためのブラシで、歯みがき粉をつけずに、コップの水でブラシを洗いながら、軽い力で長い時間みがく。シソーノーロー治療をブラシでやっていると思って下さい。
1日に1回でもいいから15分以上みがく。
歯石をとったあと冷たい水がしみる。 → 歯の根の表面をひと皮むいたので、こんなこともあります。フッ素塗布やソフトレーザー
によってしだいに治りますのであまり心配しないでください。
歯肉の中についている歯石を取らずに歯ブラシだけしていてもシソーノーロー(歯周病)は治りません。
少し大変でも、このステップをなんとか乗り切って欲しいんです。このステップは患者さんが自分ではできないので、当院の歯科医か歯科衛生士がやります。
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歯肉にあたって少し痛いこともある。 → ただし、これは言ってもらえば、少し麻酔をしたりで、痛くなくできます。
@歯肉の中についている歯石を除去する
歯石除去と簡単にいっても、これが結構大変です。歯肉の中、見えないところについています。しかも、歯石は歯の表面にしみ込むようにとても固くついています。海岸のコンクリートに貝がへばりついているようなものと思って下さい。
これを、ポケットの測定にも使ったプローブで手探りで探り当て、キュレットという先の細い鎌かスプーンのようなものでひとつひとつかき取っていきます。かき取っていくと同時に歯石がしみ込んで汚れた歯の根の表面を一枚、皮を向くようにして研磨します。汚れた木の表面にカンナをかけてきれいな面を出すようなものと思って下さい。
口の中のせまいところで、1本1本の歯の周囲をぐるりとていねいにキュレットでおそうじをしていきます。これが簡単な作業に思えますか?
歯石を溶かすような薬があればよいのですが、これはまだ開発されていないのです。